世紀の発明 パルスオキシメーター

 新型コロナウイルス感染症によりパルスオキシメーターという言葉が知られるようになった。
非侵襲的に血液中ヘモグロビン酸素飽和度を測定できる器械である。昨今は1万円前後で販売されている。40年前の1割の値段である。

国家運営放送局を見ていたら、パルスオキシメーターで表示される%を「酸素濃度」などと全く間違った表現をしている。恥ずかしいったらありゃしない。同じ番組でインタビューを受けていた保健師は流石に正しく「酸素飽和度」と述べていた。民放でも正確に「酸素飽和度」と述べていたのに。

酸素飽和度、もっと正確に言うと動脈を流れているであろう血液の赤血球中ヘモグロビン酸素飽和度である。であるから「%」なのであって、濃度ならばmL/dL あるいは g/L のような表記になるはずであろう。

 私が麻酔科になりたての40年前は、パルスオキシメーターが臨床応用されるようになったばかりであった。米国N社の製品しかなかったので、1台数十万円と高価であったためすべての手術室に完備されている病院はめずらしかったはずである。その後、世界麻酔科学会からの勧告により、全身麻酔下での酸素飽和度測定は必須のものとなっていった。その後は応用範囲が広がり、局所麻酔法であっても麻酔中の管理にはパルスオキシメータは重要なものとなった。また、ICUや救命救急はもとより一般病棟でも広く使われるようになった。こんなに簡便で非侵襲的な生体モニターは血圧計の発明以来ではなかろうか?

 さて、カタカナ表記されているパルスオキシメーターは米国発と思われているかもしれないが、大いに違う。これは、日本の医療機器会社の研究員A氏が考案した世紀の大発明品である。以前より存在していたオキシメータの原理を一捻りして考案したものである。悲しむべきことに、日本の会社幹部たちにはその有用性を見極める力がなかったらしい。米国で花が咲いた。コピー機にしてもそうであったと思う。日本国では、発明をいかにか世に知らしめたり将来性を考慮できない船頭たちによって、頭脳が諸外国に運び出されている。

まともな先導者がいない日本の未来は、保身や功労慰労金ばかりを考えている老人にとっては天国であるが、将来性への期待や投資も必要なのではなかろうかと、ひとりごつ。

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