フェリチン値と鉄欠乏のまとめ
2020/11 以降に当院でフェリチンを測定した374名(女性)のデータと、
鉄欠乏症状アンケートを統合して解説します。
まずはアンケートにご協力いただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。
この記事でわかること
- 年齢別フェリチン平均値と分布
- Y群(44歳未満)・O群(44歳以上)の比較結果
- 鉄欠乏症状アンケートの傾向
① フェリチン測定初回値(2020/11〜)
対象:女性 374名(平均年齢 43.9 歳/
平均フェリチン 38.6 ng/mL)
測定初回のみ抽出し、平均値より±3SDを超える異常高値は除外(解析人数 372)。
測定限界未満(全体 22 件)は 4 ng/mL
として扱いました。
年齢による2群化:平均年齢の 44 歳で区切り、
Y群(44歳未満)190名、 O群(44歳以上)182名に分類。


平均値(±SD)は Y群 30.19 ± 32.78 ng/mL、
O群 45.32 ± 34.84 ng/mL。Welch の t 検定で有意差を確認し、
O群の方が有意に高値でした。
② 鉄欠乏症状アンケート(40歳未満 vs 40歳以上)
回答者:40歳未満 26名、40歳以上 32名。
傾向として、40歳未満は疲れやすさ・頭痛・肌荒れが多く、
40歳以上は貧血の診断歴が比較的多い結果でした。

症例数が少なく検査値との関連までは解析できていないため、
今後は症状とフェリチン値の相関を検討課題としています。
まとめ
- 44歳以上(O群)の方が初回フェリチン値は有意に高い。
- 若年層では疲労・頭痛・肌不調が多く、年長層では貧血診断歴が多い。
- 今後は検査値と症状の相関を多変量解析で評価予定。
謝辞
本研究にご協力いただいた患者さま、ならびに
スタッフの皆さまへ深く感謝申し上げます。
永井一成 / 看護師 石毛春奈