おおつごもりの懺悔 2018

晦日に、過去一年を反省するかのような文章を書くようになって久しい。反省と言うより回顧録であるが来る年に備えて書いてきた。

今年は、自然災害や芸能界など著明な方の逝去ニュースが多かった。直接言葉を交わしたこともある方もいらしたので少なからずの衝撃であった。

同級生で同じ科に入局した友人の訃報には大変驚いた。その週末には東北新幹線で杜の都へ降り立ちご自宅に行き礼拝してきた。同期の桜が散っとは、ただただ残念。

二月ほど前に娘が男児を産んだ。これで二人の孫を持つ爺となった。娘は最初の子供ということもあり、戸惑うばかり。最近になってようやく可愛いと思う気持ちの余裕が出来たと言っていた。現在も結局家内と一緒に育児に励んでいる。子育ての困難さは育児に携わらなかった私でさえ理解できる。先日某男性患者さんと話していたときに彼は言った。シングルマザーで子育てをしている女性を尊敬すると。誠にもって同感である。

臍帯胎盤倫理委員会
ヒト臍帯や胎盤から抽出した製剤を使用し始めてから約2年、この秋になって晴れて倫理委員会が出来き、当院でも堂々と臨床実験薬として使用できることとなった。とは言え、希少価値と保険外適応となるので認知度は極めて低い。臨床実験であるが故にホームページなどで効能効果を謳うことは許されない。確かに臍帯は胎盤と胎児を結ぶ導管と思われがちだが、その中に秘められている生理活性物質の含有比率はおおいに異なる。即ち混同されがちな臍帯と胎盤は似て異なるものと解釈されねばならない。また、これらに含まれる成長因子群の何が如何に作用しているのか科学的に解明しなくては単に「効いた」では済まされない。患者様からの現実のお話を聴くことによってこの製剤の将来性を推測すると共に基礎医学的な研究が急務である。共同研究して下さる研究所が名乗り出られることを切に願う。

勉強不足の反省
診療をしていて毎日考えるのは、果たして診断や治療に間違いは無かったかどうかと言うことである。専門医は持っていても、ICUや手術室から遠く離れて二十年ともなると現実的にはペーペードライバーのような者。麻酔科医として浅くとも広い知識を持っていたつもりであったが、遺跡のような知識では世界の膨張には追従できなくなってきた。患者さん達を騙すつもりは毛頭ないが、力量不足ではなかろうかと反省すること屡々。

今年はどういう訳か分からないが、日本語圏以外からの患者さんが例年より多かった。殆ど英語で診療するしかないのだが、四半世紀前にロンドンで生活していたはずなのに思うように話が出来ない。医学の勉強も必要だが、患者さん達と意思疎通を図るためには語学の勉強もやり直さねばならないと思う今日この頃である。

三分診療が苦手であるので忙しい方達にはご迷惑をかけているかも知れない。たかが風邪であるから、さっさと処方箋を発行せよと考えられているかも知れないが、根掘り葉掘りと、症状経過について問いただしては血液検査をしてその結果や処方内容についてを解説する。医者は薬屋の手先でもなければ処方箋印刷機でもないと思っている私としては、病態や薬理作用について理解して頂かねばと言う思いが強すぎるのかも知れない。そういう批判は真摯に受け止めるとするが、私の糞みたいなプライドが手抜き仕事を嫌悪するかもしれない。こんなに細かく説明してくれる医者は初めてだと喜んで下さる患者様も少しは居られるのも事実。だが、もう少し効率よく患者様に時間を返すよう努力せねばならぬと反省し、来る年の目標とする。

噓吐きはは医者の始まりと息子には教えてきたが、今や嘘つきは政治屋や自称ジャーナリストの始まりではなかろうかと思うこと屡々。

メディアと言えば昨今国粋主義的なテレビ番組が増えてきたような気がするのは私だけであろうか? 外交が上手とは言えない政治家が多い日本のナショナリスム番組を、他国はどのように見ているのだろう。

孫達の時代にも平和であって欲しい。

このようなことばかり書いていると、本当に歳喰った。
あと何年仕事が出来るだろう、生きているのだろう、と独りごつ

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